キルトの絵本



"The Quiltmaker's Gift"の紹介
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キルトの絵本。どういうことかというと、キルトを純粋にテーマにしキルトの良さを伝えたり、キルトを人生などの表現手段として 描いている絵本のことです。日本では残念ながら実用書が先行してしまって翻訳物ですらあまり目にすることができません。欧米とて そんなに盛んに売られているわけではないのが現状です。ただキルトを縫う楽しさを知っている人なら、キルトに関係するものなら 小物でも、歴史でも絵本でもなんにでも興味があるはずです。特に子どもに教えていたりすると、絵本を一緒に見せるだけでただの縫 いものではなく何かより特別な想いが加わるのではないかと思います。親が子へ、あるいは孫へのキルトのプレゼントに一緒にプレゼント できたらどんなに素敵でしょう。子育てに忙しい中、わずかな時間を見つけてキルトをしている若いお母さんであれば、必ずお子さんの 絵本コレクションに加えるでしょう。日本でも大人向けの本や絵本がいくつか翻訳出版されていますが、最近ではビジネスとしてこのよう な少しマニアックともいえる絵本は厳しいようです。ですからそれならば、少しでもご紹介できれば、と思ったわけです。

一冊めはJeff Brumbeau文 Gail de Marcken絵 による”The Quiltmaker’s Gift”(とっておきの魔法のキル ト)という本です。アメリカでは"Book of the year"など多くの賞を受けています。Pfeifer-Hamilton Publishers というアメリカの出版社 から2000年に発売になったものです。絵本にはウェブサイトも紹介されていますので遊びにいってみるのも楽しいでしょう。 www.QuiltmakersGift.comです。ではどのようなお話かざっと紹介することにします。


むかし、山の奥深いところにキルトを毎日縫う女性がいました。そのキルトの素晴らしさに魔法 がかかっていると噂されたほどです。何とかして手に入れたいと、人々はたくさんのコインをポ ケットに詰めて彼女を訪ねて山を登ってきます。けれども「私のキルトはお金をあまりもってい ない人のためなので」と譲ってはくれません。

同じころ、贈り物をこの上なく好きな王様が住んでいました。誕生日やクリスマスにはそれはそ れは多くの贈り物を受け取るのですが、満足できません。そして兵隊に王国内でまだ贈り物を献 上していない者を探させたのです。お城中がきれいな品々でうめ尽くされました。それでも王様 は満足できないのです。まだどこかにこの世で一番素敵な贈り物があるに違いない。と思うので した。

ある日、家来がお城に飛び込んできて不思議なキルトの女性のことを告げました。さっそく多くの 兵隊を従えて、王様は山へ登っていきました。彼女は、「私のキルトはお金をあまりもっていない 人のためなのです。あなた様はそのようなお方ではありません。」と譲ってはくれません。王様は このキルトこそが私を真に満足させてくれる物だと信じて、譲ってくれるように頼みました。すると 「あなたのお持ちの宝物をすべて人々に贈ってくださいな。そうしてくださればとっておきのキルト を差し上げましょう。」と約束しました。

腹を立てた王様は何とかキルトを手に入れたかったので、彼女を懲らしめることにしました。がどん な手を使ってもその度に不思議な力が働いて王様の思うように事は運びませんでした。とうとうお手 あげになった王様は、長い間考えた末に自分の宝物を手放す決心をしたのでした。宝物をもら った人々は大喜びです。王様にもなぜか笑みがこぼれました。「自分の宝物を人に贈って、失って、 どうしてこんなに素敵な気持ちになるのだろう?」こうなるとどんどん宝物をプレゼントしていきま した。町中に行き渡ると外国にも出かけて宝物を贈りました。王様が一つ宝物を手放すと、すずめが 山の上の女性に知らせます。すると女性は1ピースずつ縫い合わせキルトを完成させていったのです。

最後のすずめの知らせを待って、キルトを作っていた女性は王様を探しに出かけました。宝物を贈り 続けてすっかり貧しくなってしまった王様を見つけると、そうっととっておきのキルトを掛けてあげ ました。「これは?」と気づいた王様が歓喜の声を上げました。「約束しましたよね。あなたがお持 ちの宝物をすべて手放されたらとっておきのキルトを差し上げると。」すると王様は答えました。 「残念ながら私はちっとも貧しくなんてないんですよ。見かけはぼろだが幸せいっぱいで胸が張り裂 けそうなくらいなんです。」と。女性は「でもこれはあなただけのために縫ったのですから。どうぞ。」 と言うと「ありがとう。ではもらうことにします。ただし、私からも贈り物をさせてくれるのなら。 キルト作りにはもってこいですよ。」と最後まで彼女のためにとって置いた王様の椅子を贈りました。

それからは日中彼女がキルトを作り、夜はそれを王様が貧しい人や心を痛めている人に贈りに行くよ うになりました。けれども王様、自分の宝物を贈ったときほどの幸せを感じることはなかったのでし た。





  気に入っていただけたでしょうか。翻訳が出せないので興味を持たれた方は是非原文でお楽 しみください。本当に心温まるお話です。また各ページにはキルトのエッセンスが盛り沢山なの です。キルトのブロックと言われるピースのかたまりにはいろいろな名前が付けられていますが、 そのブロック名とお話が見事にかみ合っているのです。その一つ一つをみつけるだけでもキルタ ーにとっては楽しい一時となること請け合いです!

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