キルトの絵本 U


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“The Quilt Story”by Tony Johnston and Tomie dePaola

この絵本は今回引越しをする際仲良くしてくれていたドイツ人の女性が娘のために贈ってくれた一冊です。 アメリカに学会で出掛けた際、偶然本屋さんで見つけたそうです。その内容があまりにも素敵なので是非 紹介したいと思います。この本は1985年にPenguin Putnum Booksからアメリカで出版されたものです。 絵をご紹介できないのがとても残念ですが、とてもシンプルでエキゾチックな感じです。それでもとても 心和むタッチで描かれています。





時はずっと昔にさかのぼります。雪が舞い降りる寒い日に、お母さんは小さい娘のためにキルトを縫って あげていました。歌をくちずさみながら流れ星をアップリケしていました。そして女の子の名前のアビゲイル もしっかり縫い付けました。女の子はそのキルトが大好きだったので、なにをするのも一緒でした。だから ほつれることもありましたが、お母さんはまたすぐにつくろってくれました。女の子が病気になってもその キルトにくるまれて眠るととっても気分が落ち着きました。

ある日のこと、アビゲイルの一家はお引越ししなければならなくなりました。まだ昔のことです。道は悪く 時間もたくさんかかりました。途中屋外で寒くてもキルトが身を守ってくれました。お引越しの先は新しい おうちでした。何もかも新しかったのですが、アビゲイルは悲しい気持ちになりました。全部新しい匂い。 でもキルトだけは違いました。お母さんはゆり椅子に座ってアビゲイルをキルトで包みゆらゆらしてあげま した。するとアビゲイルはやっと我が家を感じることができたのでした。

キルトはとても大切にされたのですが、とても古くなってしまったのでアビゲイルはそうっとたたんで屋根裏 しまっておきました。するとキルトの存在はもはや忘れられてしまったのです。ねずみがやってきて、 キルトを愛用しました。赤ちゃんも生まれました。おなかが減ると流れ星の絵をちぎって食べました。 ラクーンがやってくると、端っこに穴を作ってりんごを隠したりしました。三毛猫が来ては雪のように 舞い上がった綿にころがっていました。
子猫を追いかけてある小さな女の子が上がってきました。キルトを目にすると体に巻いてすぐに好きに なり、お母さんに頼んで繕ってもらうことにしました。

ある日のこと、その少女の家族はお引越ししなければなりませんでした。遠く離れたところへ。何マイル も舗装された道を。高速も走りました。新しい家に到着です。きれいに掃除され、ワックスがかけら れ、真っ白にペンキが塗ってありました。みんな嬉しい気持ちになりましたが少女は悲しくて仕方あり ません。何もかも白いペンキやダンボールのにおい。たった一つちがったのがキルトでした。そこで お母さんは少女にキルトをかけてそっと抱き寄せました。少女はやっと落ち着くことができたのでした。


如何でしたか。開拓時代から現代に至って愛され続けているキルトです。引越しという環境の変化に 大人はもとより子どもも不安を抱えがちです。暖かく包んでくれるキルトがお母さんのお手製だったら すてきですよね。引越しを余儀なくされた私たちにとっても勇気を与えてくれた一冊です。 (9月26日更新)

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